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ベイヒルズSR通信 8月号「年金法改正による「在職老齢年金制度の見直し」と「厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引上げ」について」「年金法改正による社会保険の加入対象の拡大」

年金法改正による「在職老齢年金制度の見直し」と「厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引上げ」について

6月13日に「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」(「年金制度改革法」)が成立しました。基礎年金の給付水準の底上げや遺族年金の見直しなど、改正項目が多く影響も大きいことからも、関心の高さがうかがわれます。

ここでは、企業に影響のある改正(被用者保険の適用拡大等、在職老齢年金制度の見直し、厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引上げ)のうち、在職老齢年金制度の見直しと厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて取り上げます。

◆在職老齢年金制度の見直し

一定の収入のある厚生年金受給権者が対象の在職老齢年金制度について、支給停止となる収入基準額が50万円(2024年度価格)から 62万円に引き上げられます。施行日は2026年4月1日の予定です。

そもそも、在職老齢年金制度とは、 現役レベルの収入がある者には、年金制度の支え手に回ってもらう観点から、賃金と老齢厚生年金の合計が基準を超える場合に、老齢厚生年金の支給を減らす仕組みです。高齢者の活躍を後押しし、できるだけ就業調整が発生しない、働き方に中立的な仕組みとすることを目的としています。

年金支給停止額(月額換算額)=(総報酬月額相当額+基本月額-基準額)×2分の1

この支給停止基準額は、2005年度(48万円)の制度開始から徐々に引き上げられてきており、今回の改正で、51万円から62万円(2026年度)になります。

◆厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引上げ

厚生年金保険等の標準報酬月額の上限について、負担能力に応じた負担を求め、将来の給付を充実する観点から、その上限額が標準報酬月額65万円(32等級)から 75万円に段階的に引き上げられます。
また、最高等級の者が被保険者全体に占める割合に基づき改定できるルールが導入されます。

実施時期は、 68万円(2027年9月~)、71万円(2028年9月~)、 75万円(2029年9月~)と3段階にわけて順次引き上げられます。

高所得者の実態と制度の不整合(現在の標準報酬月額の上限を超える賃金を受け取っている人は、実際の賃金に対する保険料の割合が低く、収入に応じた年金を受け取ることができない)を是正することが改正の背景の要因の1つです。
改正により、新しい「標準報酬月額」に該当する方は、足下の保険料とともに将来の年金額が増加します。
また、厚生年金制度の財政が改善することで、年金額の低い方も含めた厚生年金全体の給付水準の底上げがも期待されます。

>>出典【厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」】

 

年金法改正による社会保険の加入対象の拡大

613日に年金制度改正法が可決・成立し、社会保険(厚生年金保険・健康保険)の適用拡大が決定しました。今回の改正により、短時間労働者(パート・アルバイト)の社会保険加入対象の範囲がさらに拡大されることになります。今後の具体的な内容を以下にまとめます。

◆企業規模要件の縮小・撤廃

現在、社会保険加入の企業規模要件は、従業員数51人以上の企業に勤務している週の所定労働時間が20時間以上の短時間労働者ですが、2027年10月以降は、企業の規模を段階的に縮小し、2035年10月には完全撤廃となります。

◆賃金要件の撤廃

「年収106万円の壁」として意識されていた、月額8.8万円(年収106万円)の要件も撤廃となります。
撤廃の時期は、改正法の公布から3年以内の政令で定める日とされていますが、全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて判断されます(最低賃金1,016円以上の地域で週20時間以上働くと、年額換算で約106万円となります)。

 

◆個人事業所の適用対象拡大

現在、常時5人以上の従業員を使用している法定17業種(弁護士・税理士・社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業など)の個人事業所が社会保険加入対象となっていますが、今回の改正では、法定17業種に限らず常時5人以上の従業員を使用する全業種の事業所を適用対象とするよう拡大されます。

ただし、202910月の施行時点で既存の事業所は当面の間対象外です。

◆支援策について

今回の改正により、社会保険の加入拡大の対象となる短時間労働者を支援するため、3年間、特例的・時限的に保険料負担を軽減する措置が実施されます。
対象となるのは、従業員数50人以下の企業などで働き、企業規模要件の見直しなどにより新たに社会保険の加入対象となり、標準報酬月額が12.6万円以下の短時間労働者です。
また、正社員化や労働時間の延長や賃金アップに取り組むことによって支給されるキャリアアップ助成金も活用できます。

>>出典【厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」】

 

 

>>ベイヒルズSR通信(2025.8月号)PDF版はこちらからご覧ください

 

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